精について【中医学用語解説】

中医学用語解説

漢方相談などで相談をしている中でよく出る言葉の1つが「精(せい)」です。人体が成り立つ中で必要なエネルギー源として挙げられるのが「精」・「気」・「血」・「津液」・「神」です。

主に日本では主に「精」・「気」・「血」・「津液」と呼びますが、中国では古代の哲学の中でこれらの4種のエネルギー源の神が宿ると考えられていますので中国の基礎理論では神も項目として説明がなされています。

主に精・気・血・津液は人体の臓腑や経絡、器官などの物質の生成や体内で代謝したり、生理的な活動を遂行しています。そして、これらの物質が相互に密接な関係となっています。その中で精は先天の精と後天の精があり、主に人類の生命を維持する根源のエネルギー源であると考えられています。

主に精の不足によって生殖の精と呼ばれる新しい生命体を繰り出すエネルギー源としての役割もありますので、不妊症でも重要な項目として捉えられています。また、高齢による頻尿・腰痛・下肢の痛み、耳鳴りなどの症状や他の部分との関係でも必要となります。

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精の生成・貯蔵・役割

精は主に精の生成、精の代謝、貯蔵や施泄の3つの働きがあります。

精の生成

精の生成は先天の精、後天の精との2種類があります。

1.先天の精(せんてんのせい)

父と母(男女間)で生殖の精が結合する事によって新しい生命体を成していくことができる原始的な物質が「先天の精」です。生まれる前に父と母によって受け継がれるエネルギー源で両親の精に関連している物質となります。

2.後天の精(こうてんのせい)

主に飲食を行い、消化吸収を行ってエネルギー源を作り出していく臓器(脾)によって消化吸収や運んだりする役割(脾気升運)がなされて運化や生成されていく中で作り出されれていく栄養が「後天の精」です。

「水谷之精」とも言われ、先天の精と相互に促進・補助しながら人体を保っています。産生ができなくなり、精虚が起こると様々な病などの原因となります。

精の貯蔵と施泄(排泄)

1.精の貯蔵

精は主に各臓腑に分蔵されてはいますが、主に貯蔵されている臓器は腎です。先天の精はすでに胎児の時期に腎へ貯蔵され、この腎の精が主体となります。胎児の発育や各臓腑の生成過程で先天の精が各臓腑に分蔵されます。

後天の精は消化吸収を行ってエネルギー源を生成する臓器(脾・胃)によって作り出され、脾気の運化作用によって各臓腑へと輸送され、各臓腑の精となります。供給する各臓腑の精は生理的な活動で使用されると同時に過剰となった精は腎へ貯蔵され、使用された先天の精として補充されます。

五腑(大腸・小腸・胃・胆・膀胱)に所蔵されている先天の精・後天の精は成分の配合などが異なり、それぞれの所蔵されている精はそれぞれの機能や活動をサポートしています。

先天の精は腎で主に蓄えられ、後天の精をサポートしたり、生殖の精として生命を繁殖するエネルギー源となります。この腎精が先天の源とも言われます。

腎の蔵精は主な作用として主要な臓器に貯蔵する役割(封蔵作用)があり、腎精は腎気に生まれ変わることができます。この腎気の封蔵作用によって腎にある精を漏れ出すことなく使用する事が可能となり、腎精の発揮によって各臓腑による生理的な作用を発揮する事ができます。

2.精の施泄(代謝・排泄)

主に施泄には2種類の形式があります。

①臓腑を潤して養う役割(濡養)として代謝(排泄)する

精は人体の生命活動の機能維持の最も基本的な物質です。腎臓に蓄えられている先天の精と運化などによって作り出された各臓腑に送られた各臓腑の精がありますが、各臓腑に送られた精は血・津液などの物質と相互に働くことで臓腑の生理機能を発揮させるエネルギーとして代謝(排泄)されます。

②生命の繁殖へ繋げる役割(生殖の精)として代謝(排泄)する

先天の精と後天の精がそれぞれ助け合って作られます。主に女性が27歳、男性が28歳の時に最も腎の精があると言われています。腎精の一部分が作用によって生殖の精として代謝(排泄)されます。生殖の精が排泄させるのは肝の疏泄や脾気の運化作用との密接な関係があると言われています。

精の役割

性質として冷やす役割などがある陰に属していますが、主な役割として生命の重要な役割(繁殖)、腑を潤して養う役割(濡養)、エネルギー源の血に変える役割(化血)、エネルギー源の気に変える役割(化気)、神に変える(化神)などがあります。

1.生命の繁殖

先天の精と後天の精の双方から生殖の精が生成される事により、生命の繁殖作用があります。五臓六腑の精が腎にある先天の精の蓄えるなどの働きをサポートし、腎精に活かして先天・後天両方の精が各臓器のエネルギーを補いながら腎精、腎気を充実させて人体の成長発育を維持させたり、一定年齢(男子16歳、女子14歳)で生殖器を充実させる役割(天癸:てんき)へと導きます。

父・母の生命物質の繁殖の過程によって後代に継がれ、これが新しい生命(胎児)の先天の精となります。これがいわゆる生命の本源となる精となります。

2.濡養

精は人体の各臓腑を潤して養う役割(濡養)もあります。先天の精や後天の精が十分な場合には臓腑の精も充足します。

腎精が十分な場合には全身の臓腑などの生理機能が充実し、機能が正常に発揮しますが、先天の精が不足したり、後天の精が得られずに不足した場合には臓腑の精が虚してしまい濡養作用が失われてしまい、機能が正常に発揮できなくなってしまいます。

腎精の不足は成長の発育や老化の予防が難しくなり、脾精不足は栄養不足や気血の不足などを招きます。肺精不足は呼吸障害、皮膚の潤いがなくなる(皮膚の症状)などの原因となります。また、腎精は髄を生成する元になりますが、不足してしまうと骨格に栄養が失われる、歯が抜ける、疲れる、知力が減退するなどの原因となります。

3.化血

精はエネルギー源でもある血を生成する事ができます。
腎精が旺盛であれば肝に栄養もあり血も満たされるが、血虚や腎精の補足が起こると精も使用してしまう血虚になる原因となります。

4.化気

精はエネルギー源でもある気を生成する事ができます。
先天の精が化生してできた先天の気を元気といい、後天の精(水谷之精)が気を生成して肺を通して自然界の気と混ざり合って気の推動や調整を行って生命の活動を維持しています。いわゆるこれが精は気を生成する本源です。

5.化神

精は神を構成している基本の物質です。
神は生命の活動を主幹しているとされ、精が旺盛の場合は神も問題がなく、生命として存在している根本が保証がなされると言われていますが、精の不足は精神的な疲労や生命的な危機へとつながる原因になります。

精の分類

精は主に先天の精・後天の精(分布部位や臓腑の精)、生殖の精(特殊作用)、臓腑の精(先天の精と後天の精との融合によって分蔵している各臓腑の精)に分けられます。

先天の精・後天の精

前述していますが、主に父母(両親)より受け継がれた精です。胎児の原始的物質となり、生命が誕生する本源でもあります。人体を維持して活動する重要な物質です。先天の精は基礎となり、後天の精は補充をして双方を補う役割やこの2つの物質関係の調整の役割があります。

生殖の精

生殖の精の源は腎精です。天癸により、腎臓の先天の精が後天の精(水谷之精)のサポートにより繁殖させる作用があります。生殖活動の中で男女双方の生殖の精が結合して胎児となり、新しい生命が生まれます。

臓腑の精

臓腑を潤して養う役割(濡養)があります。臓腑の精には先天の精・後天の精があります。ただし、各臓腑で含まれる割合などは異なり、腎精の成分が主要の場合には後天の精で補う必要があります。

この様に各臓腑に存在するエネルギーの源であったり、生殖に関わる部分にも大きく関係している部分になります。不妊症の場合にはエネルギー源である精の他に月経に関する部分なども関連しています。

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