皮膚のかゆみ・乾燥に効果を発揮する漢方薬7選

湿疹など、特に肌表面に異常が見られないにもかかわらず、肌のかゆみが収まらない。ついつい無意識に引っ掻いてしまうような状態、つらいですよね。

こうした皮膚のかゆみを引き起こす原因はさまざま。中には全身性の病気の症状のひとつであることもあるのです。

そうした病気由来のほか、原因のひとつとなるものが肌の乾燥。特に高齢者は肌が乾燥しやすいため、冬場を中心にかゆみに悩まされる方は多いものです。

今回は、かゆみを引き起こす皮膚の乾燥に作用する漢方薬をご紹介します。

かくことでかゆみはさらに強まってしまう

「かいちゃダメ」。子供時代に肌をかこうとして、こう周りの大人に言われたことがある人もいるのではないでしょうか。

かゆみを生じている肌をかいてはいけない理由は、かく刺激により、さらにかゆみが強まってしまうため。

かき続けることにより肌表面に傷をつけ、そこからさらに悪化した皮膚トラブルを招いてしまうことにも。この悪循環を断つためには、かゆみを根本から抑えることが重要です。

皮膚科では抗ヒスタミン薬を用いたり、保湿剤を塗ったりする治療が一般的に行われています。漢方薬では、乾燥した皮膚をうるおす作用を持つものを服用し、かゆみを抑えることになります。

日常生活の中でできる「かゆみ対策」

乾燥が原因となるかゆみの場合、日頃の生活の中で意識できるものもあります。

・室内の乾燥対策
冬場は特に室内の空気が乾燥しがちになります。加湿器を使用する・洗濯ものを部屋干しするなどして、室内の空気が乾燥しすぎないように気をつけてみましょう。

・洗いすぎ・熱すぎに注意
入浴時や洗顔時、石鹸をたくさん使ってゴシゴシこすりすぎると、肌を守っている皮脂を取りすぎてしまいます。

また、入浴時のお湯の温度にも注意が必要です。こちらも、熱すぎるお湯に入ると皮脂を落としすぎてしまうため、38~40度程度のお湯にゆっくり浸かることがおすすめです。

・入浴剤の成分
入浴剤は肌の保湿にいいものだと思われがちですが、その成分に硫黄が含まれているものには注意が必要です。硫黄入りの入浴剤には角質層をはがす作用があるため、皮膚の乾燥を強めやすい特徴があるからです。

・皮膚への刺激を極力避ける
はじめにもご紹介したとおり、かきむしることは厳禁です。そのほか、肌への刺激を減らすため、刺激を与える素材の衣類を避けるといった対策もかゆみ対策には有用です。

肌のかゆみに用いられる漢方薬7つ

皮膚のかゆみに対して処方される漢方薬は、皮膚の乾燥だけではなく、冷え、胃腸の不調など皮膚そのものではないところの不調により起きていることも多いです。

そのため、漢方薬の処方の際も、そうした不調を全体的に判断しながら行われています。

・当帰飲子(とうきいんし)

皮膚の乾燥により発生するかゆみに対してよく用いられる漢方薬です。かゆみを抱えている人の中でも、特に高齢者に対して使われる代表的な薬です。

適している人は、あまり体力がなく、冷え症・軽度の貧血があるような人。10種類配合されている生薬により血行が改善することで、皮膚の乾燥・かゆみを改善させる働きがあるとされています。

副作用:胃腸が弱い人が服用すると、食欲不振・下痢といった胃腸障害が起こることがあります。

・四物湯(しもつとう)

体力が低下し、皮膚の色つやが悪い人に処方される漢方薬です。特に女性に用いられることが多く、血を補う作用を持つ「当帰(とうき)」「地黄(じおう)」「川芎(せんきゅう)」、血行を良くする作用を持つ「芍薬(しゃくやく)」といった生薬が含まれています。

乾燥した皮膚をうるおす効果がありますが、単独で使用する場合もありますが、その他の漢方薬と合わせて服用することが多い漢方薬でもあります。皮膚症状以外にも更年期には血液不足(血虚)になりやすく、おすすめできる漢方薬としても知られています。

副作用:胃腸が弱い人が服用すると食欲不振・下痢といった胃腸障害が起こることがあります。

・牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)

体力が低下し、疲れやすい人に適した漢方薬です。高齢者によく処方される薬で、下半身の冷えや夜間頻尿を抱えている人に用いられます。

西洋医学的な臨床試験においてもさまざまな効果が確認されている漢方薬で、老人性皮膚搔痒症(ろうじんせいひふそうようしょう)や熱感を感じる皮膚のかゆみなどに効果があるとされています。

※皮膚搔痒症(ひふそうようしょう)…湿疹など、皮膚異常が見られないのにかゆみが生じている状態のこと

副作用:体力がある人、暑がりの人には不向きです。また、生薬のひとつ「附子(ぶし)」による副作用、心悸亢進・のぼせ・舌のしびれへの注意が必要です。

・黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
比較的体力があり、のぼせ気味の人に適している漢方薬です。イライラしやすい人にも適しているため、イライラが悪化の原因のひとつである皮膚のかゆみ改善のためにも用いられることがあります。

副作用:体力がない人が服用すると下痢を引き起こすことがあります。また、間質性肺炎・肝機能障害・黄疸が起こることもまれにあるため、注意が必要です。

胃腸への負担や血液不足(血虚)が気になる方は…

皮膚の症状が気になる方で血液不足(血虚)を感じる方には四物湯(しもつとう)や当帰飲子(とうきいんし)もおすすめですが、特に胃腸が弱いと感じておられる体質の方には胃腸を強化する漢方薬もおすすめです。

・人参養栄湯(にんじんようえいとう)
血液不足(血虚)の方で特に食事の量が多くない(少ない)、食事をすると極端に眠くなる方など胃腸の消化が気になる方や疲労がある方におすすめです。人参湯(にんじんとう)もありますが、身体に冷えや疲れを感じる方には人参養栄湯(にんじんようえいとう)がおすすめです。

人参養栄湯(にんじんようえいとう)は気血両虚に用いる漢方薬、人参と言えば食欲不振の時に用いるイメージがありますが、乾燥した皮膚をうるおす効果もありますので、ご紹介している当帰飲子(とうきいんし)や四物湯(しもつとう)などと一緒にお飲みいただくことも可能です。

・十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)
特にご高齢の方や疲れを感じてしまう方を中心に皮膚の潤いが気になる方に併用をおすすめします。十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)は消化吸収の中心となる消化器を元気にして気と血を補う気血双補(きけつそうほ)の漢方薬で体力の低下や手足の冷えを感じる方におすすめです。

十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)もご紹介している当帰飲子(とうきいんし)や麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)などと一緒にお飲みいただくことも可能です。

特に下肢のかゆみが気になる方は…

冬の時期に出やすい症状として下肢のかゆみを感じる方が多く、その原因の1つに冷えが下肢から入ってくる事で発生してしまう症状である可能性があります。この場合には下肢を温める漢方薬も一緒におすすめいたします。

・麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)
主に風邪などの際に悪寒、発熱などに使用される漢方薬ですが、身体の外からの環境などによる影響(外邪)によって四肢の冷えを感じてしまう方、身体を温める力がない(陽虚)の場合や身体の冷えによる眠気などが多いにおすすめの漢方薬です。特に下肢の冷えなどによってかゆみを感じる方を中心におすすめです。

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