睡眠負債が社会問題に! 不眠・睡眠の質の改善に有用な漢方薬6種

夜、しっかり眠れていますか? 寝ているはずなのに何となくすっきり朝が起きられない、疲れが取りきれていない感覚がするなど、「眠り」についての悩みは人それぞれ。

睡眠不足が蓄積する「睡眠負債」が問題視されるようになるほど、良質な睡眠は生活を送る上でとても大切なこと。今回は、不眠や睡眠の質の悪さの改善に有用だとされている漢方薬についてご紹介します。

「不眠」は眠れないことだけじゃない? 不眠のタイプは4つ

一般的に、「不眠」というと「寝つくことができない」ことだというイメージを抱くのではないでしょうか。
しかし、不眠は単なる寝つきの悪さ・睡眠時間の短さだけを指すわけではありません。本人が睡眠の時間や質に満足できておらず、日中の生活に支障が出ている状態であれば、不眠状態に陥っているといえるでしょう。

なお、不眠には以下の4つのタイプがあります。

<不眠のタイプ>

・入眠障害:寝つきが悪く、眠れない

・中途覚醒:夜中に何度も目が覚めてしまう

・早朝覚醒:朝早く目が覚めて、その後寝つけなくなってしまう

・熟眠障害:眠りが浅く、熟睡感覚がない

不眠の原因はさまざま。精神的なストレスのほか、加齢、薬の副作用など、人によって原因や症状は異なります。

「睡眠薬」は万能じゃない! 副作用により使えない人も

不眠で悩みを抱えている人の中には、病院で睡眠薬を処方してもらって眠りにつく人もいるでしょう。現在処方される睡眠薬は安全性が高いとされているものではありますが、体質や年齢によっては副作用が出ることがあります。

<睡眠薬による副作用の例>

・持ち越し効果:起床後まで眠気・ふらつきが継続する

・筋弛緩:筋肉に力が入らなくなり、転倒の危険性が増す

・記憶障害:薬の効果がある間の記憶が飛ぶ

・習慣性:常用しすぎると薬をやめたときの不眠状態が悪化する

特に高齢者ではこうした副作用が起こりやすくなります。睡眠薬を使いづらい人には、漢方薬の処方が有用です。

不眠の原因から探って処方! 不眠に有用な漢方薬

漢方は総合的な判断をして処方をするため、不眠の原因と考えられるものを探り、原因に対して有用な生薬を含むものを処方します。

・イライラが原因とみられる不眠(「肝」の不調)

抑肝散(よくかんさん)

子供の引きつけにも使われている漢方薬。比較的虚弱で神経が高ぶりやすい人に向く漢方薬です。胃腸が弱い人は下痢や食欲不振といった副作用に注意が必要です。

抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんびはんげ)

抑肝散と似ている漢方薬。より胃腸が弱い人に向いています。

・心身の不調、精神不安が原因とみられる不眠(「心」の不調)

酸棗仁湯(さんとうにんとう)

体力が低下し、心身が疲労している人に処方される漢方薬です。眠りが浅く、熟睡感がない症状の不眠に適しています。神経症・自律神経失調症による不眠治療にも用いられるものです。

含まれている生薬のほとんどに精神を安定させる効果があります。副作用として注意したい点は、「甘草」によるむくみや血圧上昇です。

・倦怠感、抑うつ、食欲不振が強く表れている不眠(「気虚」)

加味帰脾湯(きひとう)

体力がなく、胃腸の弱い「脾虚(ひきょ)」と呼ばれる状態にある人に処方される漢方薬です。疲れやすい・食欲不振・顔色が悪いといった症状を持ち、不眠や不安、抑うつを抱えている人に有用です。副作用には皮膚炎や湿疹の悪化、血液検査でのAGの数値に影響することがあります。(AG=血糖コントロールの指標のひとつ)

・抑うつが強くあらわれている不眠(「気うつ」)

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

体力があり、神経質な人に適している漢方薬です。「竜骨」とは古代の大型哺乳類の化石のこと。「牡蛎」はカキの貝殻のことです。どちらにも不安やイライラを抑える働きがあります。副作用には、まれに間質性肺炎や肝機能障害、黄疸が起こるケースがみられます。

・不安が強くあらわれている不調(「気逆」)

桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)

体力がなく、神経質な人に向いている漢方薬です。柴胡加竜骨牡蛎湯にも含まれている「竜骨(りゅうこつ)」「牡蛎(ぼれい)」のほか、神経過敏に効く作用を持つ「桂枝湯(けいしとう)」や「大棗(たいそう)」が含まれています。眠りが浅い・夢見が多い症状がある際に処方されます。

不眠の原因は人それぞれ。自分に合った漢方薬を試そう

不眠とひとくちにいっても、症状を引き起こしている原因は人それぞれです。漢方薬といえども副作用があるため、自己判断は危険です。まずは医師に診察をしてもらい、適したものを処方してもらいましょう。

睡眠負債は仕事や生活のコストパフォーマンスを落とし、長期的に見て健康に影響を及ぼす可能性がある深刻な状態です。生活リズムを整えることをはじめ、漢方薬の服用も上手に取り入れて改善していきたいものですね。

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